ウェールズの歌姫メアリ・ホプキン様は1971年に英国フォークの香り漂う
スンゴい大傑作アルバム「アース・ソング/オーシャン・ソング」を出した後
プロデューサーのトニー・ヴィスコンティとの甘い結婚生活に入り
ゲーノー活動のペースが落ちてしまいます。 でも彼女はこの時期も
ポツリポツリと活動はしていて クレジットにメアリ様の名を発見するたび
いちいち大騒ぎして喜んでいます。 いつもの事だけどいちいち大騒ぎは疲れるし
ふっと俺何やってんだ?と虚しくなったりもしますが とにかく無理して大騒ぎです。
さて またメアリ様のクレジットを探すぞぉ! よーし 無理して探すぞぉ!



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BERT JANSCH 「MOONSHINE」 (1973)
英 CASTLE CMRCD112 (CD/2001)

1 Yarrow
2 Brought With The Rain
3 The January Man
 4 Night Time Blues
 5 Moonshine
 6 The First Time I Ever I Saw Your Face
 7 Rambleaway
 8 Twa Corbies
 9 Oh My Father


ペンタングルのバート・ヤンシュのソロ「ムーンシャイン」にメアリ様を発見したよ!
・・・と このアルバムへの参加は割と有名なので前から知っていたけど勿体無いので
いちいち大騒ぎしてみますか。 おお! メアリ様だ メアリ様だ! わーい わーい!

メアリ・ホプキンとトニー・ヴィスコンティが結婚していた時期のクレジットは
「Mary Hopkin」ではなく「Mary Visconti」になっていて本作も「Mary Visconti」名義です。
また2人揃って参加している事が多く この作品もトニー・ヴィスコンティはアレンジ
メアリはヴォーカルで参加という体制になっております。 これは「おしどり夫婦」や
「トニー・ヴィスコンティの妻」なんて言葉を想起させる心温まるエピソードとして後世に
語り継がれて行く事でしょう。 でも2人は1980年代初頭に離婚しちゃうんだけどね。

アルバム全体はトラッド曲が多く 暗いメロディーが連発され ブルース色も強いです。
ペンタングルの同僚ダニー・トンプソンがプロデュース&演奏で参加しているのだけど
ペンタングルよりもちょっとジャズの要素が薄まった感じになっていますね。

ペンタングルもそうなのですが このように暗いメロディー 長い曲 音に隙間もある
・・・となるとキッツくてかったるいアルバムとして響いてしまう事うけあいですよ。
ヤンシュのぶっきらぼうな歌声も華が無いのでかったるさに一層拍車がかかります。
まあ彼のアルバムはどれも派手な内容では無いのでバート・ヤンシュのソロ作は
じっくりと噛み締めて聴ける体質の人向けになっているのではないでしょうか。
僕もこれを書くために3回程じっくり聴いたら何とかじわりと引き込まれてきました。

本作のメアリ様は6曲目で歌っていますが参加曲はこの1曲だけなので残念ですが
この6曲目はメアリ様のヴォーカルが全編にフューチャーされていて良いんだぁ。
フィドルやリコーダーも絡み彩りを与えてくれ アルバム全曲中最も華があります。
その他エレキギターが暴れてエレクトリック・トラッド風味の9曲目も盛り上がりますね。

バート・ヤンシュのレヴュー 「Heartbreak」 (1981)・・・第14号
 



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RALPH McTELL 「NOT TILL TOMORROW」 (1972)
英 REPRISE K 44210 (LP)

A1 Zimmerman Blues
 2 First Song
 3 When I Was A Cowboy
 4 Nettle Wine
 5 Sylvia
 6 Birdman
 B1 Barges
  2 Standing Down In New York Town
  3 Another Rain Has Fallen
  4 This Time Of Night
  5 Gypsy


ラルフ・マクテルの「ノット・ティル・トゥモロウ」にメアリ様の名前を発見したよ!
しかしラルフ・マクテルってあまり人気が無いのでしょうか? けっこうお手頃な価格で
中古LPが転がっていて 今までも500〜1000円くらいで何枚か回収しました。
これもカット盤だけどビニール・コーティングされた英国盤だし税込1260円なら
納得だね・・・と悩みながらも「納得だ 納得だ」と自分に言い聞かせて回収しました。

本作はプロデュースがトニー・ヴィスコンティで 演奏しているメンバーのクレジットは
ラルフ・マクテル ダニー・トンプソン ローリー・アレン トニー・ヴィスコンティ
メアリ・ヴィスコンティの5人だけになっています。 各曲ごとのクレジットでは無いので
メアリ様が歌う曲の確定はできませんが A1 A2 B5 に女性コーラスが入ります。

そういえばメアリ様の「アース・ソング/オーシャン・ソング」もトニー・ヴィスコンティが
プロデュースしていて ラルフ・マクテルの作品が2曲収録されていてマクテル本人や
ダニー・トンプソンも参加していました。 前項のヤンシュの「ムーンシャイン」にも
ラルフ・マクテル ダニー・トンプソン トニー・ヴィスコンティ ローリー・アレンが
参加していて 何だかここら辺のアルバムは人脈が重なっていますよ。

この人脈を更に追って行くと何か面白い事実が見えてきそうですが
これだけ人名が出てきた時点でもう僕の頭は混乱して何が何だかわからなくなって
発狂しそうなのでもうやめておきます・・・やっぱりこーゆーデータ関連は苦手だわー。

アルバムの内容は穏かなシンガー・ソング・ライター風味といった感じで
ドラムスやベースが入るフォーク・ロック曲と ギター弾き語り曲とのバランスも良く
「シンガー・ソング・ライター風味」を強く感じさせるピアノ弾き語りなんかもあります。

ダニー・トンプソンのダブル・ベースがかっこ良過ぎの切ないフォーク・ロックのB4と
口笛とハンド・クラップが楽しげに盛り上がるB5が本作のハイライトだと思うけれども
地味にさりげなく収録されているA4やB3なんかは ほのかにトラッド臭が香り
英国を感じさせる可愛らしいフォークで・・・さすがラルフ・マクテル!って感じですよ。

メアリ様と思われる歌声が入る曲はどれもコーラスが少しだけ聴こえてくるだけで
メアリ様参加で大騒ぎとはいかないレベルだけど やっぱり勿体無いので
大騒ぎしておきます。 おお! メアリ様だ メアリ様だ! わーい わーい!

ラルフ・マクテルのレヴュー 「Spiral Staircase」 (1969)・・・第59号
「You Well-Meaning Brought Me Here」 (1971)・・・第92号
 



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DAVID BOWIE 「LOW」 (1977)
英 EMI EMD 1027 (LP/1991)

A1 Speed Of Life
 2 Breaking Glass
 3 What In The World
 4 Sound And Vision
 5 Always Crashing In The Same Car
 6 Be My Wife
 7 A New Career In A New Town
 B1 Warszawa
  2 Art Decade
  3 Weeping Wall
  4 Subterraneans
  bonus tracks
  5 Some Are (previously unreleased)
  6 All Saints (previously unreleased)
  7 Sound And Vision (remixed version 1991)


デヴィッド・ボウイの1977年作「ロウ」にメアリ様の名前を発見したよ!
プロデュースが又々トニー・ヴィスコンティで もう「おしどり夫婦の押し売り状態」ですね。
ここまでいくと「トニー&メアリ・ヴィスコンティ夫妻」は「谷隼人・松岡きっこ夫妻」や
「キンキン・ケロンパ夫妻」と同義語と言ってしまっても過言ではないレベルですよ!

メアリ様参加曲はA4の「サウンド&ヴィジョン」1曲だけで メアリ様とおぼしき歌声は
ほんの一瞬「トゥールトゥトゥトゥー」のワン・フレーズだけ歌っているだけのようだし
この部分ってホントにメアリなの?という疑問も起きるようなメアリ様らしくない感じです。
だから又いちいち大騒ぎするのは面倒臭いし疲れるけど・・・勢いで言っておきますかぁ。
おお! メアリ様だ メアリ様だ! わーい わーい!・・・ふぅー ホント疲れるぜ。

本作はシンセサイザーを多用した曲が並んでいてこの2〜3年後に全盛期を迎える
ニュー・ウェーヴやテクノ色があり 時代の先取りをしまくった鋭いアルバムですねぇ。
音作りは多少古臭くもあるけれど むしろボーナス曲の「サウンド&ヴィジョン」の
1991年リミックスの方が1980年代を引きずったダサさがあり古臭く感じます。

A面にリズミカルでポップな曲 B面に非リズミカルでスローな曲中心という構成で
半分くらいはインスト曲になっています。 A面だとメアリ様参加のA4はホントいいね!
弾むリズムが気持ち良いポップな曲だし思わず一緒に歌っちゃったりしちゃいますよ。
インストのA7はエレ・ポップ風味の曲なのにハーモニカが全編に入るおかげで
のどかで懐かしい感じが出ていて気持ち良いったらありゃしない。 いやぁ良いなぁ。

B面はボーナス曲の B5 B6 まで含め もう完全にシンセサイザー音楽になっていて
半分がインストで ドラムレスで 曇り空のような陰鬱なメロディーで という体罰系です。
B1のタイトル「ワルシャワ」に象徴されるように冷戦真っ只中の欧州共産主義国の
厳しさを思わせるこのB面は好き嫌いは別にしてもボウイの鋭さってゆーのは感じます。
僕は嫌いなタイプの音だけど・・・でも好きですねぇ。 嫌いなのに好きとはこれいかに!
谷隼人・松岡きっこ夫妻レベルの傑作という事ですね・・・って何だ?

デヴィッド・ボウイのレヴュー 「David Bowie」 (1967)・・・第20号
「Young Americans」 (1975)・・・第68号
「Ziggy Stardust And The Spiders From Mars-The Motion Picture Soundtrack」 (1983)
「The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars」 (1972)
「Hunky Dory」 (1971)・・・第97号
 



Oasis.jpg OasisBack.jpg

OASIS 「OASIS」 (1984)
日 WEA JAPAN WPCR-1459 (CD/1997)

1 Prelude
2 If This Be The Last Time
3 I Wonder Why
4 Hold Me
5 Oasis
  6 Sirocco
  7 Who Knows
  8 Weavers Of Moonbeams
  9 Loved And Lost
 10 True Love

メアリ様は1980年代初頭に古いフォーク・ソングなどをディスコでフィーバーな味付けで
ハッスルしたけど結局ガチョーン!な「サンダンス」というグループに加入していました。
「サンダンス」がナウいヤングに受け入れられなかったので路線変更して
加齢臭漂う金持ちのジジイとババア向けに結成されたのがこちら「オアシス」です。
もちろん今をときめく眉毛の繋がった兄弟のいる英国の大物バンドとは無関係ですよ!

1980年代中盤のこの時期はもうトニー・ヴィスコンティとは離婚してしまっていたようで
「Mary Hopkin」でクレジットされています。 また彼女が1970年代にゲスト参加していた
アルバムとは人脈がまったく変わり メンバーはメアリ様の他 ピーター・スケラーン
ジュリアン・ロイド・ウェバー ビル・ラヴレディ ミッチ・ドールトン となっています。

裏ジャケのシャンパンを飲みながらクルージングな写真がアルバムの内容を物語る
AORとミュージカルの中間を行くようなポップスですが 1970年の「ポストカード」も
こんな感じではあったのでそれ程違和感無く聴けます。 まあでも1970年の音と
1980年代の音のビミョーな違いがやっぱりヤングな人にはツラい感じはありますね。

ヴォーカルはメアリとピーター・スケラーンの男女デュオ状態になっています。
ピーター・スケラーンの歌声は甘ったるくて優しげだけどイヤーな感じでは無く
メアリ様の歌声もアップル時代と変わらぬ天使のような清楚な美しい響きになっていて
メアリ様のヴォーカルがたっぷりと聴けるのが嬉しいアルバムになっています。 

このCDは日本盤なのでライナーノーツに目を通すとメアリ様はシン・リジィの曲にも
ゲスト参加しているみたいですね。 どのアルバムなんだろう。 聴いてみてぇー。
・・・とシン・リジィというバンドとメアリ様なんて中々繋がるイメージは無いのだけど
実際に参加している訳だし まだまだメアリ様参加作品は探せばありそうです。
よーし またメアリ様のクレジットを探すぞぉ! 無理して探すぞぉ!

メアリ・ホプキン関連作品のレヴュー
Mary Hopkin 「Earth Song/Ocean Song」 (1971)・・・第1号
Mary Hopkin 「Post Card」 (1970)・・・第77号
Bob Johnson & Peter Knight 「The King Of Elfland's Daughter」 (1977)・・・第30号
Sundance 「Sundance」 (2002)・・・第57号
 


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